日本人がつい忘れがちなことの一つに、「どこの国の人にとっても、自分の家族と故郷は特別」というものがあります。もちろん夫婦関係や家族関係が破綻しているケースなどを除いてですが、よほどの事情がない限り、この優先順位が変わることはありません。自分の家族は他の人の家族よりも大切、ましてや他国の人間よりも大切です。ごく自然なことですが、それは自国内だけでなく、他国にいても同様です。
●スウェーデン人の場合
最近日本で注目されている北欧の、スウェーデン人の場合もそうです。日本や中国、アメリカなど、大体の主要国にはスウェーデン人ネットワークがあり、定期的に集まって、スウェーデンの季節の行事などを一緒に祝っています。参加者はスウェーデン人駐在員とその家族が多く、その地域に留学している学生が加わることもあります。
●中華圏の人たちの場合
台湾人、中国人といった中華圏の人たちも、自分と血のつながった家族を一番大事にします。次に同じ出身地の人たち、つまり同郷の人たちと繋がります。北京なら北京、香港なら香港、といった具合です。他国に住んでいる時、同郷の人が多ければ、まず同郷の人たちでまとまり、同郷の人が少なければ、他の地域出身の人たちと一緒になって中華系ネットワークを築きます。最終的には、イギリスのロンドンやオーストラリアのシドニー、カナダのバンクーバーのように、中華街を作ります。
また大きな中華街を形成するまでには至らなくても、情報交換をしたり、端午の節句といった季節のイベントに家族ぐるみで参加したりと、中華圏の人で集います。実際に東京でも、台湾人も中国大陸の中国人も一緒になって活動しているグループが複数存在します。
●日本人も、自分の家族と故郷のことをまず大事に
このように、どこにいても、人は家族と故郷の人とつながって生活しています。どこの国の人にとっても、自分の家族と生まれ育った故郷は特別だからです。
それはつまり、日本以外の国にいる外国人や、日本国内にいる外国人は、自分たちの家族や故郷を後回しにして日本人を助けることはない、ということでもあります。普段の生活ではあまり意識することがないかもしれませんが、何かの際には、私たちも日本人も自分の家族と故郷のことをまず大事にすること。そして、その優先順位を間違えずに行動することが非常に重要です。