大部分のヨーロッパ人は、日本の自然災害について知らない。

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日本では、毎年台風が来ますし、地震も頻繁に起こります。台風や地震の影響で、洪水や津波といった水害も発生しますし、時には停電や断水にもなります。日本人にとっては当たり前のことですが、他の国、特にヨーロッパの国々はそうではありません。その結果、大部分のヨーロッパ人は、日本の自然災害の多さや怖さを知らないのです。

●アジアやアメリカでは自然災害がある

例えば、他のアジア地域やアメリカでは、地震は日本ほど頻繁には起こりませんが、台風やハリケーンといった暴風雨がしばしば発生します。香港や台湾では、ひどい台風の場合、出社禁止や登校禁止になります。ですから、これらの地域では、自然災害の恐ろしさを知っている人がそれなりにいる訳です。

●ヨーロッパでは自然災害が少ない

一方、ヨーロッパでは、気圧配置やプレートなどの地理的要因から、台風やハリケーン、地震が非常に少ないです。特にドイツやスウェーデンは、ほとんど地震がない国の代表格です。どちらの国も、100年間でマグニチュード6.0以上の地震を経験していません。ちなみに、1923年の関東大震災はマグニチュード7.9(推定)、2011年の東日本大震災はマグニチュード9.0です。実際、日本に来て初めて地震を経験したというスウェーデン人もいます。

●自然災害や気候風土が、その土地の生活や文化に影響を与える

こういった自然災害の多さ、気候風土の違いは、確実にその土地の生活や文化、宗教にも大きな影響を与えます。台風や地震が頻繁に発生する日本では、常に自然災害に備えた生活をせざるを得ません。筆者も地震の際、停電を経験したことがありますが、家だけでなく、道路の信号機の明かりまで消えてしまいました。そうすると、完全なオール電化や電気自動車だけの生活というものは、日本では難しい訳です。電気以外のエネルギーやインフラも、何かしら確保しておく必要がありますから。

住宅もそうです。スウェーデンやフィンランドといった北欧で、100年前の石づくりの住宅や建物が残っていることを評価するニュースや記事が時々出てきますが、それは地震がないからです。自然災害が少ないからです。100年前に、日本で石の住宅を建てて人が住んでいたら、地震でもっと多くの人が亡くなっていたでしょう。ちなみに100年前、日本では関東大震災が起きました。

だからこそ、日本独自の宗教である神道は、元々自然崇拝に近いものなのです。明治を境に色々と変わってしまいましたが、お天道様こと太陽は神様です。月も神様、山も神様、海も神様です。お米の一粒一粒にも神様がいます。富士山が霊峰富士と呼ばれることもあるように、日本では山は信仰の対象です。日本の自然が荒々しいからこそ、日本人は自然を神様としてまつり大切にし、お米一粒も残さず大事に食べるようになってきたのです。

参考までに、自然災害が少ないドイツは、独自の神話を持っていません。フィンランド以外の北欧には北欧神話がありますが、ドイツのゲルマン神話というものは、その北欧神話を引っ張ってきたものです。

●互いの自然や気候風土が異なる時、どう対応するか

このように、自然災害一つをとっても、日本とヨーロッパには大きな違いがあります。そのため、ドイツやスウェーデンなど自然災害が非常に少ない国の人に、環境保護や自然を大切にと言われても、かみ合わない部分が出てきます。決して日本人が自然を大切にしていない訳ではありません。神様にする位ですから。しかし、台風やら地震やらで頻繁に死者が出る国とそうではない国で、同じレベルでの環境保護はできません。日本では、まず人が死なないような対策をとる必要があるからです。

仮にドイツ人やスウェーデン人などヨーロッパ地域出身の人が、日本人に対して、環境保護をしろ、自然を大切にしろと言ってきたら、日本の自然災害がいかに多く、強烈かを説明しましょう。そして神様にする位、日本人は自然を大切にしていることを伝えましょう。毎年死者が出るほどの台風や地震など、彼らはほとんど経験したことありません。その上で、ヨーロッパの人が良いと考えることは、ヨーロッパで実行すればよいのです。日本人が良いと考えることは、日本で実行すればよいのです。同じことをする必要も、同じ結論に至る必要もありません。

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