日本の同調圧力と外国の同調圧力の違い~台湾とスウェーデンの例

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「同調圧力」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。ある集団において、その集団のメンバーが他のメンバーと同じように行動することを求められる強い影響力のことです。英語では同調圧力のことを「peer pressure」と言いますが、日本人には「空気を読め」の「空気」や、「世間が許さない」の「世間」と言うとわかりやすいかもしれません。

この同調圧力が、日本は強すぎる、強すぎて生きづらい…という意見が時々出てきます。ところが実際には、日本には日本の同調圧力があり、他の国には他の国の同調圧力があるだけなのです。外国には同調圧力がないのではなく、同調圧力の「内容」が違うのです。

筆者が経験したことも含めて、台湾とスウェーデンの例を挙げてみましょう。

●台湾の同調圧力

まず台湾の場合。台湾でも、女性は結婚したら子どもを生むことを求められます。台湾を含む中華圏では、昔から男性が家を継ぐものという考えがあるためで、特に男の子を生むことが期待されるとのこと。日本でも似たようなケースはありますが、よりデリカシーがないと言いますか、家族親戚含め周囲からお嫁さんへのプレッシャーは強烈です。

マスメディアを通じて台湾を知ると、台湾社会は進んでいるように見えるかもしれませんが、実態はまた異なります。若者とその親世代、祖父母世代の考え方は違いますし、親世代や祖父母世代の人が新しい考えを全て受け入れている訳ではありません。

また、社会人になってからも、家族や親戚一同と食事をしたり、友達同士で集まって遊びに出かけたり、集団で行動することが多い文化です。断ることもできますが、一人で行動することを好む人にはそれなりのストレスになります。

●スウェーデンの同調圧力

続いてスウェーデンの場合。スウェーデンには、未婚既婚含めてカップルで行動することが求められる「カップル文化」というものがあります。ホームパーティやクリスマスパーティなどに、カップルで出席し社交することが当然とされている社会だからです。

恋人や配偶者がいる人は問題ないのですが、今現在付き合っている人や配偶者がいない人にとってはなかなか厳しいです。実際、スウェーデンを代表する某大企業で、あるスウェーデン人女性が同僚の男性にパートナーのふりをしてパーティに一緒に参加してもらえないかと頼んだ、という話を聞きました。

これは逆に言うと、年頃になると一人で行動しづらくなる文化、社会ということを意味しています。「一人ぼっちはダメ」という同調圧力が働いている訳です。日本のように、一人で気楽にラーメンを食べに行くことも微妙に白い目で見られる、ということです。

スウェーデン以外でも、ヨーロッパ、もとい西洋文化圏の国にはこのカップル文化がしばしば存在します。調べたい国名を入れて、「国名 カップル文化」で検索してみてください。

上記はほんの一例で、その他にも本心では別のことを考えているけれど口にしづらい、行動しづらい、ということは台湾でもスウェーデンでも、他の国でもあります。人間が集団で生活する以上、何かしら周囲と合わせなければいけないことは出てくるからです。日本だけでなく、どこの国にもその国ならではの同調圧力が存在します。日本だけ同調圧力がひどいと決めつけず、ぜひ国ごとに調べてみることをお勧めします。興味深いものもあれば、ちょっと遠慮したいものもあり、どこの国でも大なり小なり面倒なことはあるのだと思えてきます。

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