社会人が、お金を払って英会話教室に通う場合、まず自分のレベルに合ったクラスや、自分に合った先生を探そうとする人が大半ではないでしょうか。また実際、最終的にそうなっていることがほとんどでしょう。同じように、自分のレベルや好み、状況に合った学習方法や教材を選ぶことも非常に大切です。
今回は、社会人の英語学習者が見落としがちな、自分に合った学習法や教材を選ぶことの重要性と具体的なポイントをいくつか紹介します。また、意外と今でも使いやすいと好評なタイプの参考書にも言及します。
●自分に合った学習方法を見つける
インターネットやスマホが普及した現在、英語の学習方法は実に多種多様です。しかし、Aさんが良かったと言う学習法が、BさんやCさんにも合っているかどうかは別問題です。中級者や上級者レベルならば効果が見込めるけれど、初心者には難しすぎる、というパターンもあります。何より、大勢の人に効果があったという勉強法であっても、自分だけ効果がなかった、ということもあります。
また、今の自分の状況に合っているかも重要です。「シャドーイング」や「ディクテーション」という英語の勉強方法を例に考えてみましょう。経験者はわかると思いますが、「シャドーイング」や「ディクテーション」は集中して英語を聞く必要があるため、想像以上に頭が疲れます。時間もかかります。学生であれば続けられるかもしれませんが、時間に限りがある社会人にとっては、続けにくい方法とも言えます。
そのため、まずは自分でも色々試して、自分自身に合っている学習方法を見つけましょう。今の自分のレベル、今の環境で続けられるものがベストです。
●自分に合った教材、参考書を選ぶ
学習方法と同様に、自分に合った教材や参考書を選ぶことも不可欠です。昔ながらの紙の参考書やノートを使う方法以外にも、今はパソコンやタブレット、スマホを活用した教材や学習サービスも随分と増えてきました。
●デジタルのメリット・デメリット
とはいえ、そこは一長一短で、パソコンやスマホだから便利な点もあれば、不便な点もあります。例えば、スマホのアプリで英語を勉強しようとする場合、ちょっとした隙間時間でも学べたり、スマホさえ持っていればどこでも学習できたり、といったメリットがあります。その一方で、不具合が多かったり、アップデートしたら使えなくなったり、というデメリットもあります。また、電池が切れたら学べませんし、どこにどんな情報があるのかわかりづらい、といったUI(ユーザーインターフェース)の問題があることもあります。
スマホアプリでも、パソコンでのオンライン英会話でも、デジタルなサービスの場合は、無料お試し期間が設けられているものもあります。無料期間に自分に合うかどうか実際に試して、検討しましょう。
●アナログのメリット・デメリット
一方で、パソコンやスマホよりも、紙の本の方が書き込めるし、読みやすく、学びやすい、という人も多いです。紙の参考書など、アナログ教材を使うメリットは、一度買ってしまえば、サブスクのような月額課金が発生しないこと、入手時の乱丁落丁を除けばアップデートによる不具合は発生しないこと、などです。デメリットとしては、持ち歩く時に追加の荷物になる、大きいサイズの書籍になるほど家の外では勉強しづらい、などが挙げられます。
デジタルでもアナログでも、両方組み合わせて英語を学んでいる人が大部分ですが、自分が使いやすい、続けやすいと思える教材やサービスを利用しましょう。
●電子書籍の注意点
最近はKindleなどの電子書籍でも、英語を含め様々な語学の参考書が出ています。しかし複数の重要な個所に付箋をつけて、折に触れて該当箇所をチェックしたい場合や、目次と対象ページを度々移動するなど辞書的に使いたい場合は、電子書籍よりも紙の書籍の方をおすすめします。
●紙の参考書の注意点
紙の参考書であっても、読みやすさ、使いやすさというものはあります。文字の大きさ、余白、色、紙質、自分の好みも含めて、個人的に使いやすいと思うものを選んでください。
以下に、書籍の内容は悪くはないけれど、人によっては使いづらいと感じる具体例を紹介します。
・章立てやページ数の表記
まず、章立てやページ数が確認しづらい例です。目次を見ると、「第3章、第1節、21、21A、53…」などと書かれ、本文のページ下部には2種類の数字が表示されています。どの番号を見ればよいのか、わかりづらいです。ページ数とは別にユニット番号を記載したいのであれば、ページ上部にユニット番号を表示する方が読者にとってはわかりやすく、親切です。・文字色の種類
文字の色もポイントです。多くの書籍で重要箇所が太字になっていますが、太字にした上で、さらに色がついているケースがあります。この色は、赤やピンク、青に紫など本によって様々ですが、自分は何色が使いやすいか考えて選びましょう。画像は全体的にショッキングピンクでまとめられたケースですが、ピンク色が好きではない人は選びづらいですね。また、色に関しては、実はクライアントの中で、赤字で書かれた部分を付属の赤い透明シートで隠して覚えるパターンの書籍が、予想外の根強い人気を誇っています。赤い透明シートで隠すだけですから、大した労力もかかりません。学ぶ側からすると、重要箇所の色は赤や朱色になっているものが一番便利かもしれません。
●意外と今でも使いやすいと好評なタイプの参考書
重要箇所が太字が赤く書かれ、その部分を赤い透明シートで隠して覚えるパターンの書籍、社会人向けで言うと、例えば以下のようなものがあります。どちらも実際おすすめです。
職場でTOEICスコアが求められる人用に、『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ』。
一度社会人を経験した後、イギリスや関連諸国の大学や大学院へ留学したい人向けに、『【音声ダウンロード付】実践IELTS英単語3500』。
●海外の参考書の注意点
最後に、海外の書籍あるあるなのですが、紙質が日本と異なります。正直、日本の書籍の紙質に慣れた日本人からすると、紙質が悪いと感じることの方が多いでしょう。また、ビジネス向けでもフルカラーのテキストであることが多いですが、ここも好みは分かれるところです。
そのため、紙の参考書を購入する時は、可能な限り大きい書店に行って、実際に手に取り内容を確認してから買うことをおすすめします。ネット上で高評価のものでも、自分には合わない場合もあります。近くに大きな書店がなく、ネットで買うしかないという人は、残念ながら、自分に合わない可能性があることを念頭においた上で購入しましょう。
●まとめ
とにもかくにも、社会人の英語学習者が忘れてはいけないことは、まず自分に合っている学習法や教材を見つけることです。いくつか試してみて、自分には合ってないな、やりづらいなと感じたら、別の方法を試してみてください。他の人や評判はさておき、自分が使いやすい、続けやすいと思える教材や参考書が一番効果を発揮しますから。